スズキの独自路線を象徴する油冷エンジン

no image オフ 投稿者: SLlov7uk

スズキの油冷エンジンについて

スズキはユニークなアイディアと高い技術を武器に、たくさんのヒットモデルを飛ばしています。
スズキ独自の技術はいくつもありますが、その中でも目を見張るのが油冷エンジンです。
このシステムはまさに世界を見渡しても他にはなく、スズキの独自のものです。

もちろん、オイルを使ってエンジンを冷やすというのは、自動車でもバイクでもよく見られる構造です。
つまり、燃焼室の周りに細いオイルを循環させるためのルートを配して、そこに冷たいオイルが流れることで熱を逃がすという方法です。
しかし、スズキの油冷エンジンは、それとはもともとの考え方が異なるものです。

スズキの油冷エンジンでは、通常のエンジンオイルの循環とは別に、油冷用のオイルポンプを設けています。
そのポンプでオイルに圧力をかけてから、燃焼室の外側の部分に対して、高圧の状態ままで噴射するという仕組みです。
運転時にはエンジンオイルは100度くらいの高温になります。
そのオイルを使っても、大してエンジンを冷やすことができないように思えます。

しかし、そこには温度境界層という原理が関係しているのです。
この現象は、同じ温度のものでもゆっくりと壁に吹きかけるとそれほど温度変化は生じないのに対して、高圧で勢いよく吹きかけると熱い空気の層を圧力で吹き飛ばすことができ、熱が奪われる力が強くなるというものです。
それを、エンジン周りにオイルをかけることで実現しているわけです。

油冷エンジンの特徴

この油冷エンジンは、1985年に発売されたGSX-R750で初めて搭載されました。
このマシンで油冷エンジンが搭載された理由としては、軽量化が大きなものです。
通常の水冷エンジンだと、冷却水やファンなどの重量がありますので、かなり重量が増えてしまいます。
レーシングマシンであるGSXでは、こうした重量をいかに減らせるかが勝敗を分けるものですので、軽量化できるものはなんでも利用するのが鉄則です。

そこでスズキが注目したのが、温度境界層の現象です。
油冷にすることによって、軽量化はもちろんコンパクト化にも成功しました。
しかも、油冷エンジンは、オイルの温度がレースというかなりハードな状況によっても極度に上昇することなく、安定してくれるというメリットがあります。
そのため、故障や状況によるパフォーマンスのアップダウンを防ぐこともできます。

当時、フレーム構造や材質にも革命が起きていて、スズキは油冷エンジンと共にアルミフレームを導入しました。
それによりダブルの軽量化を図ることができ、圧倒的なパフォーマンス向上につなげることができたわけです。
このように油冷エンジンはレーシングマシンの進歩に伴って誕生した技術で、パフォーマンスを押し上げるのに一役買った技術革新と言えるでしょう。